繊細なデコレーションに、芸術的なデザイン。上質な素材をいかした味わい深さと、重く感じさせない軽やかさ。そんな近代洋菓子の源流を作ったのが、菓子をアートの領域にまで高め「フランス菓子界の父」と称えられた偉大な職人、ガストン・ルノートル氏です。1957年に創設された<ルノートル>は2019年3月に日本に再上陸、銀座三越に常設店をオープンしスイーツファンを歓喜させました。今回は、世界の第一線で活躍するパティシエたち、そして日本の洋菓子界へも多大な影響を与えたガストン・ルノートル氏のヒストリーと、氏の哲学を受け継ぎ新しいクリエーションを生み出し続ける<ルノートル>の魅力に迫ります。
銀座三越地下2階、<ルノートル>のショーケースに並ぶお菓子は、一つひとつがアートピースのような美しさ。フランス菓子らしい繊細さと、モダンで都会的なデザインで、食べる前から目を楽しませてくれます。上質な素材が選びぬかれ、惜しみなく職人が手を尽くしたその味わいは、さぞ重厚かと思いきや、意外なほど軽やか。素材の味は濃厚なのに、くどさがなく、体にすんなり溶け込むようなやさしい味で、思わずもう一つ、と手を伸ばしたくなるおいしさです。それこそが<ルノートル>の真骨頂。創設者ガストン・ルノートル氏が20世紀のフランス菓子界に起こした革新とは、重厚さが中心だった伝統的な菓子を「食べやすく、軽やか」にアップデートしたことだったのです。
現在、フランス国内に10のブティックと3つのレストラン、海外5カ国に店舗を構え、M.O.F.(フランス国家最優秀職人章)受章者を7名も擁する、フランスを代表するメゾンとなった<ルノートル>(2019年7月現在)。いかにして発展してきたのか、まずはその足跡を振り返ってみましょう。
ガストン・ルノートル氏が生まれたのは1920年のフランス・ノルマンディー地方。父母はともに料理人、母親の作るお菓子が大好きで、自らも菓子職人の道を選びました。町の小さな菓子店での見習い時代を経て、パリで修業を積み、1947年に最初の店をノルマンディーにオープン。そして1957年、自らの名を冠した<ルノートル>をオープンします。
<ルノートル>の登場はパリの人々に衝撃をもたらしました。「こんなに上質で、軽やかで食べやすいお菓子があるなんて! 」 ガストン・ルノートル氏は常にクリエイティブな精神で自らの菓子を改良し続け、トラディショナルなレシピを時代に合わせて「軽く、食べやすく」変身させました。砂糖の量を控えたり、重たいバタークリームにメレンゲを加えて軽やかにしたり、フレッシュなフルーツを取り入れたり…。今では当たり前になっているさまざまな手法を確立し、フランス菓子に新しい風を吹き込んだのです。
たちまちパリに旋風を起こした<ルノートル>。1964年にはトレトゥール(ケータリング)とレセプション(宴会)の事業にも進出し、総合的な美食のスペシャリティメゾンへと成長していきます。さらに、特筆すべき挑戦が、生産と研究のためのラボ(工房)の開設と、料理学校「エコール・ルノートル」の設立。プレジールという土地で大きなアトリエを作り、一部の人にしか届かないのが当たり前だった高級菓子の常識を打ち破り、職人の手仕事をより多くの人が味わえるようにしたのです。さらに、若い世代に技術を継承していくための学校も開設。フランスの美食文化の発展に大きな功績を残しました。
現在、世界の第一線で活躍するパティシエの中には、<ルノートル>で修業を積んだ人や、「エコール・ルノートル」の卒業生が数多く存在し、日本の洋菓子界にも計り知れないほどの影響をおよぼしました。ガストン・ルノートル氏が「フランス菓子界の父」と呼ばれるゆえんです。生前「自分が教えることを若いパティシエが学んでくれることがうれしい。彼らの成功を見るのが幸せ」と語っていたガストン・ルノートル氏。2009年に88歳で生涯を閉じた今も、フランスを代表する料理人として世界中の美食家やシェフたちから愛されています。
<ルノートル>の味は海をわたり、世界中の人々を魅了し続けています。1975年に海外1号店となるベルリンを皮切りにさまざまな国へ進出。日本へも1979年に初上陸し、本場パリそのままの味わいで大評判になりました。2009年からは常設店は構えず、ポップアップやバレンタインシーズンのみで出会えるブランドとなっていましたが、2019年3月27日に銀座三越に待望の常設店がオープン。ここでしか手に入らない限定ケーキや、世界先行発売の商品も登場するとあって、スイーツファン注目のショップとなっています。
現在アトリエを率いるのは、クリエーション・ディレクターであり、ガストン・ルノートル氏の意思を継ぐギー・クレンザー氏。M.O.F.を2部門(シャルキュトリー・トレトゥール、キュイジニエ)で獲得しているスゴ腕職人です。
トレトゥールの職人としてキャリアをスタートし、星付きレストランでも腕をふるった経験を持つギー・クレンザー氏は、「素材にこだわり、料理の様にレシピを考えてお菓子やチョコレートを創る」をコンセプトに、ガストロノミーの概念を持つ、ルノートルでしか表現出来ないお菓子やショコラを生み出しています。菓子づくりに使うコーヒーへのこだわりから、バリスタと焙煎士の資格を取得したかと思えば、自らグアテマラへコーヒー豆を摘みに行ってしまうほど研究熱心なギー・クレンザー氏。彼を筆頭に、卓越した才能を持つシェフたちによって<ルノートル>は進化し続けています。ぜひ銀座三越へその世界を味わいにきてみてください。
まずチェックしたいのは、銀座三越限定の「トゥール・エッフェル・ヴォリュテ」。薄く繊細なチョコレートのプレートの下には、味わいの違う2種類のショコラムース、ココアのスポンジ、キャラメルの風味とカリッとした食感がアクセントのプラリネが層になっています。甘さとほろ苦さ、キャラメルとナッツの香りが溶けあう、パリのムードが香る大人のケーキです。
750円+税(1個/日本製)
※現在、お取り扱いはございません。
続いては期間限定アイテム「エスプリ・タルトレット・シトロン」。パリに先駆け銀座三越で先行販売となる夏のスペシャリテです。パリのお菓子屋さんでは定番のタルトレット・シトロン(レモンのタルト)を、<ルノートル>らしく洗練させました。サクサクのビスキュイの上に、爽やかなレモンクリームとメレンゲ、パッションチョコレートを重ねています。レモンの酸っぱさが心地よく、夏の暑さを吹き飛ばしてくれそう。アイススパークリングティーと合わせて、すっきり爽快なティータイムもおすすめです。
750円+税(1個/日本製)
※現在、お取り扱いはございません。
「秋の葉」を意味する「フイユ・ドトンヌ」は、<ルノートル>を代表するケーキ。花びらのように美しいチョコレートをパリッ!と割ってフォークを差し込むと、濃厚なチョコレートの膜とココアのスポンジの壁に包まれた空間に、チョコレートムースとサクサクのメレンゲが詰まっています。味わい深いのに食べ心地は軽快で重さを感じさせないバランスが見事。ガストン・ルノートル氏が開発したレシピが今なお継承されている、メゾンを代表する名作です。
800円+税(1個/日本製)
こちらは、世界に先駆けて銀座三越で発売となる、「フィンガーケーク フランボワーズ」。しっとりとしたパウンドケーキの上に、アーモンドやザクザクしたクランブル、フランボワーズをトッピング。中にもフランボワーズのコンフィチュールが隠れており、甘酸っぱさと食感の楽しさを味わえる華やかな焼き菓子です。アイスクリームを添えて素敵なデザートにアレンジするのもおすすめ! 4〜5人で楽しめるボリュームなので、パーティーの手土産にもぴったりです。
2,000円+税(1本(約21cm)/日本製)
子どもから大人までみんなを笑顔にしてくれそうなバリエーション豊かなクッキーアソート。レモンが爽やかな「サブレシトロン」、サヴァラン生地を焼菓子にした「ビスキュイサヴァラン」、チョコレートとバターが香る「ディアマンショコラ」、ヌガーの風味とさっくり食感が特徴の「サブレクロッカンヌガティーヌ」、皮付きアーモンドを入れた「トゥイーユダマンド」、そして柑橘の風味がアクセントの日本限定フレーバー「ビアリッツ」の6種類を詰め合わせました。素材の良さと組み合わせの面白さ、職人たちが丹精こめた味わいが贅沢に詰まった一箱は、まさに宝石箱です!
4,400円+税(6種・51個入/日本製)
※現在、お取り扱いはございません。
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※価格はすべて税別です。2019年10月1日(火)より消費税率が変更されます。
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