7階 美術サロン
示崎マキ 米田有甫「擦過するかたどり」
作家コメント
本展では、外形の定まらないものと、触知しやすい物理的な形態との間を行き来しようとする作家の営みを、「かたどり」と呼んでみます。
人物とその周辺を主題に木彫を行う示崎は、自身を取り巻いて散らばるイメージとしてのモチーフを彫によって造形し、それらを組み合わせて新しい関係性を作りだしながら空間に再配置する制作により、イメージと物体とにまつわる具象像の可能性を拡大しようとしています。
近年、自動車での移動をしながら造形制作を行う米田は、ものを「置く」「選ぶ」「移動させる」などといった基礎的な操作に着目し、形の現れ方を変える行為を通して、自身を含めたそれらが横たわる地平との、身体を介した関わりのリアリティを探ろうとしています。
こうした「かたどり」的制作は、作家の生の中で経時的に重ねられ、 その過程が、痕跡あるいは結果としてもう一度表に出てくるようにして展示されます。そのような場面には、例えば、彫られる前の材の形を残して彫り上げた像が、しばしば硬直したように壁に立てかけられたり、一定の規則で拾われた、長さの不揃いな枝がおさまり悪く見えたりといったように、どこか、親しみのある様子とは滑らかに整合しないような感覚が伴うことがあります。物理的にはごく順当である出来事がもたらす、こうした軽い違和は、形態的な要請に応じた造形と、それが描き出すイメージとの間に横たわっているように思われます。
現れ出たイメージと共に、ひとまとまりの手跡を見る時、「かたどり」の過程が、世界との間に軽い衣擦れの様なものを生じさせるとすれば、それをできるだけ丁寧に聞くことにしたいと思います。
作家略歴
示崎マキ
愛知県立芸術大学大学院美術科彫刻領域修了
主な展示
令和07年 個展「レモンの言語」YEBISU ART LABO、愛知県
令和06年 「光射す器 種蔵の影 2024」岐阜県宮川町種蔵集落、岐阜県
令和06年 「ART in YELL 2024」とうしん美濃陶芸美術館とうしん学びの丘“エール”、岐阜県
米田有甫
筑波大学人文・文化学群人文学類哲学主専攻哲学コース卒業
主な展示
令和07年 個展「ディマ」Alt_Medium、東京
令和06年 個展「微風状態」ギャルリー東京ユマニテ bis、東京
令和05年 アートフェア「SICF24」Spiral、東京
<お問い合わせ先>
■ 7階 美術サロン
■ Tel. 052-252-3491(直通)
《黄色い傘》
510×70×60mm
2025年
《ぬいぐるみ》
500×250×110mm
2024年
《人》
360×130×60mm
2025年
《加増》
最小 115×28×4mm、最大 約 705×170×75mm
2024年
長距離を移動中に、午前と午後にそれぞれ一本づつ、Y 字に分岐した落ち枝を地面から拾う。二本目以降は、分岐した末端側の主要な先端二つを直線で結んでできる三角形状の部分の面積が、直近に拾ったもののそれよりも大きくなる様に拾っていく。家を出て開始し、帰宅したら終了する。
《境域態》
440×330×225mm
2023年
海岸に漂着した木箱を、部材の裏表を逆にして組み直したもの。
記録写真集『展開』
部数限定 私家版
A4判フルカラー 82ページ
2025年発行 無線綴じ製本
長さ二メートル程の特定の枝を、自動車で持ち運び、各地の路傍などに繰り返し立てて、一定の構図で撮影して記録した作品《展開》の写真集。
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