美術

【終了】東海道   西野壮平 展 

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2020/04/07 UP

諸般の事情により、本展覧会を4月7日(火)をもちまして終了させていただきました。

 

MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERYでは、日比野克彦のオープニング展覧会に続き「東海道 西野壮平展」を開催いたします。完成まで約三年以上の歳月をかけ、全長34mにも及ぶ、巻物状の写真作品を発表いたします。

西野壮平は1982年兵庫県生まれ。歩くこと、旅を通して得た個人的体験をもとに作品を制作しています。都市を撮影し、その写真の断片を記憶に基づいて画面上でつなぎ合わせた「Doiorama Map」シリーズが広く知られています。

写真のコラージュは、制作過程において膨大な手作業の積み重ねによって成り立っています。一見すると洗練された印象を与える西野の作品も、実のところ強く身体的な要素を備えています。今回発表する新作にも、その傾向を見て取ることができます。

新作「東海道」は、浮世絵「東海道五十三次」(歌川広重)を下敷きにし、実際に2017年に東京から京都まで歩き、撮影・制作に臨みました。江戸時代から大きく変容した風景は、近代化した社会のあり方自体を私たちに問いかけます。また、西野の作品において重要な要素でもある「歩く」行為そのものも、交通の発達した現代において、江戸時代とその意味を大きく違えていると言えます。

歩き続ける中で関わる他者との関係も、西野の制作における重要なテーマの一つです。SNSに代表されるように、コミュニケーションの在り方も現代は変化し続けています。西野は根源的なアプローチ方法で、作品アートを通じて現代社会と他者との関係性について考察を巡らせているとも言えるでしょう。

本展では、京都市の老舗美術印刷「便利堂」で制作された、職人の手作業によるコロタイププリントの全長34メートルにも及ぶ巻物状の大作写真作品を中心に、巻物の中から切り取られた写真作品「東海道」をテーマとした19点を展覧いたします。

この機会に是非とも、ご高覧いただきますようお願い申し上げます。

 

 

【西野壮平 ステートメント】

 

2017年の冬、東京から京都までの道のり約492キロを徒歩で歩き、

江戸時代の浮世絵師、歌川広重の「東海道五十三次」の浮世絵の中で描かれた現代の風景や宿を探し、広重が旅をした足跡を辿る旅に出た。

私は2004年に故郷の兵庫県から東京まで徒歩で歩いたことがある。 

それは私が大学を卒業し写真家という道を志すことを決心した時に衝動的に選んだ最初の旅であった。

 

そもそも写真を始めるきっかけが四国のお遍路道を歩いたことであったし、歩きながら写真に記録することは自分を知る為に強く必要性を感じていたこともあるからだ。

当時の私には東京という場所は非常に大きな存在であり、見えない壁でもあり、

大海原に飛び込む自分にとって挑むべきものの象徴でもあった。

約492キロという長い道のりを一歩一歩歩くことは、これから待ち受ける様々なできごとを想像する為の時間であり、その後の人生においてもその経験は貴重なものとなった。

 

そして13年後の2017年、35歳になった私は22歳だった自分が歩いた道を振り返るように、広重の絵を手に再び東海道を歩いた。

普段であれば東京―京都の移動に利用する新幹線の時速285キロの移動ではなく、時速4キロのスピードで、約一ヶ月間数え切れないほどの車や電車に追い抜かれ、速度という概念を強く身体的に感じながら、ひたすら京都という目的地を目指した。

 

道中では宿々を辿りながら様々なものに出会ったが、それらの記憶の中でも先ず先に出てくるのは、ゴォゴォという車の音と排気ガスの匂い、

人の少なさ、そして広重に描かれた東海道の絵と現在の姿との隔たりだ。

山間部以外の1号線沿いにはどこにでもあるような大型店やチェーン店、コンビニといった風景が繰り返し目に止まり、趣のある浮世絵の中の世界とは異なり、その場所を特徴づけるものを見つけることの難しさがあった。

 

今の東海道は、人が歩く為の道というより車の為の道であった。しかしその中でも丸子宿、日坂宿、鳴海宿、御油宿などの、今もかつての面影が残る場所を見つけると妙に嬉しくなり、古くから代々続いている茶屋や団子屋などを見つけると迷わず入った。

歩き疲れて休憩したくなる丁度良い距離に宿場町があり、人間にとっての疲労と距離の感覚は時代が変われどもさほど変わらないのだろう。

 

東海道沿いには腰を下ろす場所が非常に少なくコンビニやガードレール、大きな駐車場の植え込みなどにもしばしば腰をかけた。

その様子はどこか異様だったのだろう、通行人に白い目で見られたり、ときに警察から職務質問も受けたりもした。

歩行というものが今や利便性を追求する現代社会に対して逆行するようなものでもあり、人々は歩くという行為を長距離移動という目的ではなく健康や精神的な付加価値を伴う行為として捉えているのかもしれない。

そういった意味では現代の東海道は、巡礼路でも、もはや人が歩く為の道でもなく、車による物流目的の道として機能しているのだ。

 

東海道という道を歩くことは、自身を振り返る行為でもあったのかもしれないが、

昔の人々の気配と痕跡をどこかに探し求めながら歩くことで、「歩く」ということの人間の原始的な感覚とその意味を確かめる時間であったのかもしれない。

 

全長34メートルの長さの巻物には東海道の現代の姿とある一人の人間の私の旅の記録が写し出されている。

 

【西野壮平 プロフィール】

1982年 兵庫県生まれ

主な展示:個展

2010年

DAEGU PHOTO ビエンナーレ(大邱、韓国)

 

2011年

Wandering The Diorama Map 個展(マイケルホッペンギャラリー、ロンドン)

 

2012年

日本の新進作家展vol.10(東京都写真美術館)

OUT OF FOCUS: PHOTOGRAPHY(Saatchiギャラリー、ロンドン)

フェスティバル Images Vevey (ヴェヴェイ、スイス)

Photo Espana フォトエスパーニャ(マドリード、スペイン)

Sohei Nishino Solo Exhibition 個展(Stiftelsen 3,14、ベルゲン、ノルウェー)

 

2013年

fotográfica bogotá 2013 フェスティバル(ボゴタ、コロンビア)

A Different Kind of Order: The ICP トリエンナーレ(ICP、ニューヨーク)

ART ARCH HIROSHIMA 2013(広島美術館、広島)

Foam Magazine Talent Exhibition 2013(アムステルダム、オランダ)

Of Walking グループ展(Museum of Contemporary Photography, シカゴ)

Sohei Nishino "Diorama Maps" 個展(SANATORIUM、イスタンブール、トルコ)

 

2014年

KYOTOGRAPHY フェスティバル(京都)

unseen photo fair CITIES(アムステルダム、オランダ)

NEW DIORAMAS 個展(マイケルホッペンギャラリー、ロンドン)

 

2015年

東京国際写真祭(城南島アートファクトリー、東京)

Sohei Nishino Exhibition CITIES(Polka Gallery、パリ)

西野壮平展 Action Drawing 個展(IMA gallery、六本木)

 

2016年

Festival la Gacilly Photo (フランス)

New Work: Sohei Nishino Exhibition 個展(サンフランシスコ近代美術館、アメリカ)

 

2017年

Prix Pictet 「Space」Finalist exhibition(巡回展)

 

2018年

MAST foundation for Photography grant 2018 on industry and work: グループ展(MAST Foundation, Italy, Bologna)

New planet Photo city: グループ展(21-21 design sight, 東京)

New Cartographies: グループ展(Asia Society Texas Center, ヒューストン、アメリカ)

 

2019年

水のかたち 個展(rin art association、前橋市)

 

2016年 「New Work:Sohei Nishino Exhibition」サンフランシスコ近代美術館

2020年 「東海道」MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERY、東京

ほか展覧会多数

 

受賞

 

2004年 大阪芸術大学卒業制作展 学長賞

2005年 JPS企画展ヤングアイ 日本写真家協会会長賞

2005年 Canon写真新世紀 南條史生氏選優秀賞

2013年 日本写真協会賞新人賞

2013年 Foam Talents Call 2013

2016年 さがみはら写真新人奨励賞

2017年 Prix Pictet 「SPACE」 Finalist

2018年 MAST Foundation Photography Grant

 

 

画像

〈西野壮平〉

東海道 由比

画像

〈西野壮平〉

東海道 三条大橋 

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