おもてなしの空間を「白く輝く森」で表現

おもてなしの空間を「白く輝く森」で表現

隈研吾

隈 研吾 くま・けんご

1954年横浜生まれ。東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、90年隈研吾建築都市設計事務所設立。現在、東京大学教授。これまで世界20カ国以上で建築を手がけ、多くの賞を受賞。代表作に「那珂川町馬頭広重美術館」「ブサンソン芸術文化センター」「根津美術館」など。

歴史的空間を彩るモダンデザイン

 今回のリモデルの中で、もっとも変わった部分に本館1階の環境デザインがあります。手がけたのは、2020年東京オリンピック・パラリンピック主会場となる新国立競技場を設計する建築家・隈研吾氏。既存建物に使われていたアールデコ調から着想した「白く輝く森」がコンセプトだと話します。
「アールデコで多用される植物のモチーフを現代的なデザインで復活させ、森と結びつけることで、環境の時代といわれる今にふさわしい空間を作りたいと思ったんです」
 ライオン口から中央ホールへと続く通路に連なるのは、光輝く白い樹冠。床から連続する白大理石の幹(柱)の上部に、菱形のアルミパネルを組み合わせた枝葉を作り、内部にLED照明を仕込んでいます。照明設計は照明デザイナー・面出薫氏が担当。幾度となく模型を作って検証を重ねたといいます。
「改修にあたっては、この照明に限らず什器や家具に至るまで、僕らが細かく設計しました。中心にあるのは、三越ならではの〝おもてなし〟を意識したデザイン哲学。その哲学に貫かれた空間で、商品を手に取りながら、またソファで寛ぎながら、〝三越らしさ〟を感じていただけるのではないでしょうか」

デパートが内包する非日常感を再生

 2016年、「日本における百貨店建築の発展を象徴するものとして価値が高い」との理由から、国の重要文化財に指定された日本橋三越本店。
歴史的な建造物を保存しながら、百貨店としての本来の機能を失うことなく活用していく動態保存には、難しいものがありました。天女像のある中央ホールの吹き抜け周辺や、竣工当時から残る希少な大理石など、改変できない部分も多く存在。ルールを守りながら、空間全体に統一感を持たせるのは至難の業でした。
「歴史ある建物を守るためには、大変な労力が必要だと改めて思い知りました。しかし同時に、高揚感のようなものを覚えていたのも事実。父が日本橋育ちということもあり、僕も幼い頃からよく日本橋三越本店を訪れていました。巨大な天女像の存在に他の百貨店とは違うスピリットを子供心に感じたのも、大人になって初めてワイシャツを仕立てたのもここ。そんな個人的な親近感に加えて、日本における商業空間のひとつの頂点ともいえる場の改修に携われることは、本当に光栄でした」
 時流に従い、世界中の百貨店が均一化していく中、それまでのデパートメントストアが持っていた、訪れるだけでワクワクするようなスペクタクル感が失われていると話す隈氏。今回のリモデルでは、現代的なデザイン手法を用いることで、そのスペクタクル感を再生できたともいいます。
「かつて日本のストリートカルチャーの中心地であった日本橋。自動車時代の到来により失われた文化を、取り戻す時期が来たのだと思います。長年続く再生プロジェクトと相まって、今回のリモデルが日本橋のさらなる活性化の一端を担えると嬉しいですね」

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