いつまでも変わらない透明感と、クールな佇まい。
唯一無二の存在感を放ち続けるミューズ・太田莉菜さんに、
「日本の美」に関して思うところを聞いてみた。
1988年1月11日生まれ、千葉県出身。10代の頃からモデルとして活躍。CMの他、舞台、映画やドラマなど、活動の場を広げている。毎週水曜深夜1時35分から放送中のドラマパラビ「来世ではちゃんとします」(テレビ東京)に、高杉 梅役でレギュラー出演中。
謙虚で柔らかい芍薬のような人。彼女から受ける印象を一言で表すなら、そう形容する。すべての質問に対し丁寧に言葉を紡ぐその姿に、真摯な生き方が垣間見えた。
「今回、自分をカバーモデルに選んでいただいたことは、嬉しかった反面、すごく意外でもあったんです。私はいわゆる日本の美の感覚に当てはまっているのかなって……」
規格外の美しさこそが太田莉菜さんの魅力。カバーで見せた、たおやかにしてモダンな姿は、私たちが理想とする美しさそのものだ。そう伝えると、彼女はクールな表情をふわりと緩ませた。
「よかったです(笑)。私自身、美のあり方はどんどん多様化しているように感じています。これまでは欠点だと言われてきた容姿のあれこれも、むしろ素晴らしい個性だと受け入れられるようになってきたという印象です。自然体が一番だよって、そういうムードが高まっている気がするんです」
そんな流れを前向きかつ必然的に捉えている太田さん。それは彼女が以前、浮世絵を見たことにも由来する。
「浮世絵を初めて見た時は衝撃を受けました。当時の日本人がこんなにもはつらつと暮らしていたなんて知らなかったから。特に美人画に描かれた女性たちの、人間的で生き生きとした表情や艶やかな仕草に惹かれました。そして、時代は変わっても美の本質は変わらないと強く感じたんです。美しさや可愛らしさの根本は、いつの時代も人の持つエネルギーなんだなって」
つまり、太田さんの捉える美は、その人の内側に秘めたパワーと強く繋がっている?
「そうなんです。自分的に居心地が良く、モチベーションも高い状態でいることが“今の時代に合った美しさ”なのかなって。最近はとにかく健康・健全を心がけています。そのうえで、流されることなく自分にとっての良し悪しを自分自身でジャッジできる強さが、私の目指すところかな」
完璧は美しいけれど、適当でいることも楽しめるようになってきたと言う。例えばメイクにも、彼女ならではの美学が。
「私のメイクはアクセサリー感覚。色や質感のあるコスメが好きで、赤い靴に合わせて目元に赤いラインを入れたり、ラメやパールによってピアスを変えたり。ファッション感覚だからルールはないし、トライしていることに心が踊る。そういうのって生きる力にも直結すると思うんです」
女性の力が世の中をもっと元気に
そんな太田さんは、誰かがいつもと違うメイクをしていたら「すごく可愛いね」「素敵だね」と意識的に声をかけるようにしているそう。自分がアクションを起こすことで、周りにも変化があるはずと信じて。
「日本人って褒めるのが苦手な国民性。でも、自分もそうだけど、ポジティブなことを言ってもらえると嬉しいし、気持ちも上がる。そこは女性みんなで協力し合っていこうよ、と思います(笑)。今を生き抜くのは簡単じゃないから、女性は女性の味方であって欲しいって思うんです。どんな時も」
日本人女性がそもそも持っていた“芯の強さ”や“思いやり”が表面化する時代がやってきたのかもしれない。私たちは強く美しく進化する。そしてそれは、世界の美のスタンダードを牽引しつつもある。
彼女のまっすぐなまなざしに、日本の希望が見えた気がした。
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