Spring 2020 Beauty GINZANISTA

Special Column

vol. 01 日本の美の今までとこれからvol. 01 日本の美の今までとこれから

日本のビューティ界を索引し、そのめまぐるしい時代の変遷の中、
常に日本女性の美に寄り添う言葉を紡ぐ、美容ジャーナリストの齋藤薫さん。
今、改めて問われる「ジャパン ビューティ」の本質とは。

美容ジャーナリスト 齋藤 薫 Kaoru Saito美容ジャーナリスト 齋藤 薫 Kaoru Saito

化粧品の開発、アドバイザーなど幅広く活躍。
美容と女性の生き方を、独自の切り口で語るエッセイは、さまざまな女性誌で連載を持つ。

今、日本女性は本当に美しいのか?

日本女性は美しい。世界に誇れる美しい肌を持っている……
それが、今も昔も世界の共通認識であることは間違いない。しかし、欧米の男性を中心に「日本女性と結婚したい」という、ぼんやりした憧れが未だ生き続いているのも、日本女性はとても従順で穏やかで、忍耐強いというイメージが、根強く残っているからなのだろう。

20世紀初頭に初演となったオペラ「蝶々夫人」は、明治の長崎を舞台に、アメリカ海軍士官に一途な愛を捧げ、彼の帰りを待ち続ける“日本人妻”蝶々さんの美しくも悲劇的な運命を描いたプッチーニの傑作。ヨーロッパで成功を収め、今も頻繁に上演されるこのドラマが、日本女性のイメージを少なからず左右しているとの説もある。もちろんそれは全くもって過去のイメージ、いやこの物語自体、大時代的なフィクションとわかっていても、私たち日本人にとって少々違和感のあるものだった。

1986年に男女雇用機会均等法が施行されて以降、女性が結婚してからも仕事を続けるのは当たり前になり、女性たちが男性にも負けない社会性を持つようになってもう久しい。かつての日本女性の生き方は、私たちにとってももう遠い昔のものとなっている。そして、ノーと言えない日本人が世界で揶揄されるのを受けて、日本人ももっと前に出なければいけないと言う提言があちこちから聞こえてくる上に、インターナショナルな感覚を身に付けることが急務になり、なんだか躍起になっていた時期もあるほど。

でもこの数年で、少し流れが変わった気がする。言うまでもなく今、食の分野でも観光でも、空前の日本ブーム。ましてや2020オリパラはもう目前。それに伴って、近年の“国際化しようと一生懸命の日本”ではなく、むしろ“極めて日本的な日本”が世界からある種の羨望を持って見つめられていることを、私たち自身が知ったからである。

ハッとした人は多いはず。自分たちはいつの間にか、日本人であることから逃げようとしていた。でも何のために?その理由も明快でないままに、日本を否定しようとしていたことに気づかされ、目を覚まさせられる気がした。ひょっとしたら私たち日本人は、とても大切なものを失おうとしていたのではないかと。

例えば、「奥ゆかしさ」。既に死語になりかけている言葉だけれど、その意味をひもとけば「上品でつつしみ深く、心がひかれる。態度にこまやかな心配りがみえて、ひきつけられる」……なんと美しく趣深い言葉なのだろう。それこそ日本が世界に誇れる美徳そのものではないのか。もともとノーと言えない日本人が、必死でノーと言う必要があるのだろうか。それよりも、奥ゆかしく相手を傷つけず、心地よくさせる、その結果期せずして相手を引きつけてしまう………それが日本人なのではないだろうか。

クラシックのコンサートでも、日本の観客はおとなしく、総立ちによる大喝采は滅多に起こらないが、代わりに演奏中は2000人の観客が息もしていないかのような静寂のもと演奏に集中し、演奏家を感動させるという。スタンディングオーベーションが起こりにくいのは、後ろの人が見えなくなるから立ち上がるのを躊躇するせい?そういう国民性を否定する必要があるのだろうか。

もちろん無理をして奥ゆかしく振る舞う必要などない。でも、ちょっと昭和の頃を思い出してほしい。まだ“奥ゆかしさ”が、私たちにとっての美しい徳だった頃の日本を。女性たちは人前で化粧することさえ、はしたないと考え、人目を避けた。本来は間違っても“若い女性が電車の中でメイクをするような国”ではなかったはず。近年、何かのタガが外れてしまった事は確かのなのだ。

だからあえて言いたい。日本人は礼節を知っているから尊敬される。桜も儚げで幽美で神秘的だから愛される。侘び寂びが憧れられ、茶道から武道まで、心技体を一つにすることで、人間を鍛錬し磨いていくという価値観そのものが、世界を魅了する。そういう国に生まれたことを今こそ一人一人が誇りに思うべきなのだ。それだけで、おそらく一つ一つの行動が変わる。日本人のDNAにある丁寧さと冷静さ、最低限の大人のマナーを持って生きれば、それだけで必ず美しさが宿るはずなのだ。

それどころか日本女性は、新しい時代の美しさを世界に先駆けて体現している。日本の美容の水準は、とてつもないところまで行っているのだ。だから慌てなくていい。がむしゃらにならなくていい。「日本人は美しい」、今改めてそう言える時代。肌質の美しさだけでなく、過不足のないメイクや、手間の行き届いたヘア、洗練を学んできた結果のおしゃれ、そして、穏やかな物腰。街も自然も人の心も美しい日本に住む私たちは、美しい人々としてちゃんと輝いている。

2020、世界を日本に迎え入れるに当たって、そのことを一人一人が自覚し、自負して、改めて襟を正すべき時なのではないだろうか。

私たちは美しいのだと。

vol. 02 日本の美の今までとこれからvol. 02 日本の美の今までとこれから

今再び、日本の書道である“ジャパニーズ カリグラフィ”が世界的に注目を浴びている。
国内外で活躍する、書道家の万美さんが感じる日本の美とは?
彼女が思う、美を表現する言葉を披露。

書道家 万美 Mami書道家 万美 Mami

HIP HOPカルチャーのひとつ、グラフィティを書道と同じ視覚的言語芸術と捉えた“Calligraf2ity”を確立。
日本、アジア、ヨーロッパ、アメリカ等、国内外での個展やパフォーマンスを通して活躍中。

メイクのプロセスにおいて、ブラシ使いは立体感を生み出すのに欠かせないもの。小学校三年生のときに、国語の授業で書道に出合い、その筆使いが表現する書道の3Dの世界観に虜になったというのが、書道家の万美さんだ。
「書道はペンと違い、筆の弾力で3Dの動きをする。それがすごく面白くて! 授業中に初めて書いた自分の字が、キラキラして見えたんです」

取材当日に現れた万美さんはスラリとした長身に、透き通るような白い肌と赤いリップが印象的。まさにジャパニーズビューティそのものだが、典型的な大和撫子というより、クラシカルでありながら、現代的な空気も纏っている。普段はHIP HOP音楽を聴き、ビートボクサーと書のセッションを実現するなど、新しい書のスタイルを確立。
「書道という固定概念に縛られない潔さが自分の強み。ただ自由だからこそ、書の“型”を無視するのではなくて。有名な言葉に“型があるから型破り、型が無ければ形無し”とあるように、“型”があるからこそ、そこを破って越えた先にある表現があるはず。まずはきっちり基礎を入れてから、というのは、日本人らしい表現の美学だと思います」
“型”というスタイルは、日本独自の表現手段なのかもしれない。日本の美容誌に欠かせない、メイクの基本プロセスを細かく解説する記事が人気なのも、私たちらしい美の追求のひとつ。

万美さんの活動の場は日本だけにとどまらず、海外からもオファーも殺到。彼女のビューティアイコンでもある、CMにも抜擢されるほど美しい黒髪のロングヘア。その日本女性らしい髪型も“書道を魅せるためのパフォーマンスの一部”と語る。
「海外では、特にパフォーマンスを通して書に興味を持ってもらうことが大切。体を動かしながら大きな字を書くことが多いので、髪も揺れると人は自然と目で追う。よりパフォーマンスが華やかになり、書道家としても自分の印象も残りやすい」

書を体現する万美さんが感じる、“型”以外の日本の女性らしい美しい字とは何か?
「最近、書く機会が多かった新元号の“令和”から感じた麗しいの“麗”。きれいな響きで空気感に丸みがありますよね。一歩引いている日本女性らしい、奥ゆかしさみたいなものを感じます」

時代と共に変わりゆくものもあれば、変わらない日本人の美しさと言葉もある。そのことを、万美さんが気付かせてくれた。

vol. 03 日本の美の今までとこれからvol. 03 日本の美の今までとこれから

日本の芸能においても唯一無二の存在である、105年の歴史を誇る宝塚歌劇団。
スタイリッシュな男役姿で多くの女性を魅了した
元・トップスターの朝夏まなとさんに聞く、日本の美とは?

女優 朝夏 まなと女優 朝夏 まなと

1984年9月15日生まれ。佐賀県出身。
元宝塚歌劇団・宙組トップスター。退団後は舞台を中心に女優として活躍。
4/7〜4/26まで日比谷シアタークリエにてミュージカル『モダン・ミリー』に主演。

“型”にハマれる柔軟性を持ちつつ進化していきたい

宝塚歌劇団を退団後、現在は舞台の上で、さまざまな国の女性の役を演じている、女優の朝夏まなとさん。改めて、日本女性の美しさとは何かを尋ねてみた。
「パッと思いつくのは、凛としているイメージ。奥ゆかしさもありつつ、一見相手を立てているようで、いい意味でコントロールしているというか。自分がバーンと前に出るわけではないけど、そのポテンシャルを持っている。決してひけらかさず、芯の強さを秘めている感じがしますね」

それは宝塚の男役に寄り添う娘役を彷彿させる。宝塚在団中は、そのスタイリッシュなスタイルと、3歳から始めたバレエで培われたしなやかな動きで名ダンサーとしても注目。日本舞踊の発表会『宝塚舞踊会』では約13分間、一人で踊るという大役を担う。「洋物のダンスは振りが決まっていても、振りと振りの間や、ポーズひとつにしても、わりと自由にそのひとの個性を出しやすい。逆に日本物は制約も多く“型”がある。日本舞踊にしても、それを忠実に演じ、型にハマったときにはじめて、美しさにつながるんです。個性をアピールすることに走らず、ストーリーがある中で決められた動きをきっちりやる。無駄なものをそぎ落とした、研ぎ澄まされた世界ですね」

元・宝塚のトップスターという、こちらの一方的な固定概念とは裏腹に、取材中、スタッフの間で何度も笑いが起きるほど、朝夏さんは心の壁がない。
「在団中は“清く正しく美しく”の精神をモットーにしているのですが、実はこの言葉の前に“朗らかに”と言う言葉が付いていたそうなんです。きっちりかっちりしていたイメージから、ちょっと捉え方が変わりますよね。抜け感があって好きな言葉なんです」

退団して約二年。男役から女優へと転身した際、意外にも演技へのアプローチはあまり変わらなかったという。
「リアルさを追求することで、解放された面もあります。型があるものは準じなくてはいけないけど、型にハマれる柔軟性がないと、多分変化していけない。変化を恐れず、でも変わらない部分も持ちつつ、進化し続けいきたい」

大切なのは従順さではなく、柔軟性。
「でないと、面白くないですから! これからもっと舞台を観に来て下さる方にワクワクして頂きたいですね」

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